●アンジェス(株):2020/04/08 04:15
<星 良孝=ステラ・メディックス>(その1)
アンジェスが新型コロナワクチン、抗血清製剤も
半年後の上市を視野に大阪大学と共同開発!!
■DNAワクチンはウイルス変異にも対応する?
大阪大学大学院医学研究科臨床遺伝学治療学教授の森下竜一氏は、その開発プロセスや通常のワクチンとの違いについて説明した。通常のワクチンは、病原体の毒性を弱めた弱毒化ウイルスを卵や細胞の中で増やし、これを皮内や筋肉に接種して、体内でウイルスを排除する抗体を作らせるものだが、病原体を得てから製造して供給するまでに半年以上がかかる。
それに対して、DNAワクチンは、ウイルスの持っているDNAの情報に基づき、病原性に関係しているタンパク質を特定。このDNAを人工的にプラスミドで作り出して、これを体内の細胞の中に入れてタンパク質を細胞に作らせる。6~8週間で製造から供給までたどり着ける。タンパク質に対する抗体を体内で作ることで、ウイルスへの抵抗力を付けることが可能となる。
■大阪大学:臨床遺伝学治療学教授の森下氏
今回の新型コロナウイルスについては、Spike部位と呼ばれる、細胞に取り付くときに必要なタンパク質に着目。これをコードするDNAをワクチンにすることとなった。Sタンパク質と呼ばれる1273個のアミノ酸がつながったタンパク質で、3822塩基のDNAの情報に基づいて作られる。この3822塩基からなるプラスミドを作製。マウスとサルに投与したところ、Sタンパク質に対する抗体を体内で作ることを確認した。新型コロナウイルスの表面にあるSタンパク質を抗体で無力化して、細胞に侵入するための足がかりを得られなくする。DNAワクチンの投与で作られる抗体は、免疫細胞が均一な抗体分子を作るモノクローナル抗体ではなく、様々な免疫細胞が少しずつ異なる不均一な抗体分子を作り出すポリクローナル抗体になり、新型コロナウイルスの変異に対しても比較的柔軟に対応できると説明した。
DNAワクチンの製造は、プラスミドDNAの製造技術と製造設備を有するタカラバイオの協力を得た。今後は、DNAワクチンの動物実験を経て、人を対象とした臨床試験に進む。検証を含めて6カ月をかけて供給する見通しだ。