●アンジェス(株):2020/02/13 02:42
HGF遺伝子治療用製品「コラテジェン」について(その3)
<閉塞性動脈硬化症の治療>
閉塞性動脈硬化症の治療は重症度(Fontaine分類)に応じ、適宜組み合わせて行われます。
・運動療法や生活改善:Ⅰ~Ⅱ度
・原因疾患(生活習慣病)の治療:Ⅰ~Ⅱ度
・抗血小板剤などの薬物療法:Ⅰ~Ⅳ度
・外科的な血行再建(自家静脈や人工血管によるバイパス術):Ⅲ~Ⅳ度
・バルーンやステントを用いた血管拡張術:Ⅲ~Ⅳ度
重症虚血肢(Ⅲ・Ⅳ度)ではバイパス術や血管拡張術が行われ、閉塞部位を回避することができるため症状の緩和効果も期待できます。
しかし、完全に閉塞してしまっている場合や広範囲に及んでいる場合、全身状態が不良な場合では上記が適さないこともしばしばあります。
その場合、有効な治療選択が無く足の切断を余儀なくされていました。
<コラテジェンとは>
コラテジェンは重症虚血肢(Ⅲ・Ⅳ度)に対して有望な治療薬です。
コラテジェンは遺伝子治療薬のため、遺伝子とタンパク質合成について簡単に紹介します。
コラテジェンはヒトのHGF遺伝子を組み込んだ「プラスミドDNA構造(環状二本鎖DNA)」を有する製品です!1)
遺伝子治療用プラスミドベクター製品とも言われています。
コラテジェンのHGF遺伝子の前にはプロモーター領域(転写開始)があり、ここから転写が開始されます。
コラテジェンを筋肉内に注射で投与すると、筋肉細胞内で転写が開始され、ヒトHGFのmRNAが合成されます(ポリA尾部領域もあるため、安定化される)。
その後、mRNAが翻訳されることでヒトHGFが産生されます。
産生されたHGF(hepatocyte growth factor)は「肝細胞増殖因子」と呼ばれ、様々な臓器の修復や新たな血管を作る作用(血管新生作用)を有しているタンパク質です。
血流が回復する結果、足の末端まで栄養・酸素が届けられるようになり、重症虚血肢の症状緩和効果が得られると考えられます。
このように、遺伝子情報を持った製品(コラテジェン)を投与することで目的のタンパク質(HGF)が産生されて治療効果を発揮するものを遺伝子治療製品と呼んでいます。