●アンジェス(株):2019/11/25 20:25
AnGes広報BLOGから
11/23:九州朝日放送・「とっても健康らんど」の放送内容
今回、遺伝子治療最前線についてお話を伺ったのは、
大阪大学臨床遺伝子治療学・ 教授の森下竜一先生です。
▪ 遺伝子治療最前線について
これまでいろいろな研究で遺伝子治療が行われ、私たちも血管を再生する物質「肝細胞増殖遺伝子(HGF)」を用いて、
閉塞性動脈硬化症やバージャー病といった、足の動脈硬化で潰瘍ができて治らない方に対してずっと治療を行ってきました。
これが今回、厚生労働省で医薬品として認められて保険適用で使われるようになりました。
日本で初めて保険適用となった遺伝子治療医薬品で、世界でも血管再生や循環器の領域では初めての遺伝子治療医薬品になります。
▪ HGF遺伝子治療薬
森下先生らが開発したHGF遺伝子治療薬は、足の血管が詰まった患者さんに新しい血管を作る遺伝子を注入して血管の再生を促すというものです。
治療の対象となるのは足の血管内が詰まる閉塞性動脈硬化症。糖尿病や高血圧、長年の喫煙や運動不足、加齢などが原因で起こります。
最近では生活習慣病の方が増えたことで、この閉塞性動脈硬化症の方が増えています。
▪ 治療法
HGF遺伝子治療薬は、超音波で針先を見ながら患部周辺の筋肉組織内に8ヵ所に分けて注射されます。すると筋肉の中で生まれた特殊なタンパク質が周辺の毛細血管に新たな血管を作るように働きかけます。やがて植物の根が広がるように新しい血管が伸びて元の血管に迂回する形でつながっていきます。
今のところ、このHGF遺伝子治療薬は潰瘍が進んで、既存の手術療法や薬物治療では改善が見込めない患者さんにのみ使用が可能となっています。
▪ まとめ
現時点では「医薬品条件付早期承認制度」という制度を使っていて、いわば仮承認のような形なので使える施設が限定されています。また、潰瘍が治る可能性があるということで、例えばすでに骨が露出しているような方は対象外になります。
当てはまるような症状があり興味を持たれた方は、お近くの病院か少し大きめな病院でお尋ねください。
▪ 補足
今回紹介した血管を再生する遺伝子治療薬。
今後は患者さんがより多いアメリカで臨床試験を行って、現地での早期実用を目指しているそうです。