●アンジェス(株):2024/08/21 08:20
NF-κBとは、活性酸素などによる酸化ストレスなどの刺激が外部から与えられた時に、細胞が炎症反応や免疫反応を惹起させるため活性化する主要な転写因子です。 NF-κB デコイオリゴDNAは、このNF-κB転写因子に結合して炎症性サイトカイン(細胞から分泌される生理活性物質)の放出を抑制し、過剰な炎症反応や免疫反応に起因する疾患に対する有効性が期待されています。
NF-κBデコイオリゴDNAについては、2018年2月に米国で椎間板性腰痛症の患者を対象とした後期第1相臨床試験を開始し、2021年4月に得られた結果では、高い安全性が確認され、有効性についても投与早期より腰痛は大幅に軽減し、腰痛の抑制は投与12ヵ月後まで継続したことが確認されています。
この結果を踏まえアンジェスは、日本国内にも慢性椎間板性腰痛の患者は多く、国内において製品化した場合に事業性を見込めると判断し、2023年1月に国内において治験に取り組むことを決定し、続く3月には国内第2相臨床試験への協力に関する塩野義製薬との契約締結を発表しています。
国内における第2相臨床試験の目標症例数は92例ですが、初めの2症例については米国での投与量よりも多い20mgの投与を行い安全性を確認するものですが、昨年11月29日に独立データ安全性モニタリング委員会から、投与2例の安全性が確認されたとの報告を受けています。この結果を受けて、18歳以上75歳以下の患者を対象に投与量20mgが30名、10mgが30名、プラセボが30名の3組で第2相臨床試験に取り組むことになっています。
現在20ヵ所の医療機関の協力を得て第2相臨床試験が実施されていますが、8月9日に発表された第2四半期決算短信の中では「日本国内における第2相臨床試験において順調に症例の登録を進めております。当該試験に関して塩野義製薬と契約を締結し、費用の一部を負担いただくとともに、試験結果に基づき第3相臨床試験の実施について協議する予定です。」と報告されています。
医薬品市場統計書を発行してIQVIA調査資料によると、国内での椎間板性腰痛症の患者数は167万人とのことですが、NF-κBデコイオリゴDNAの米国での治験結果では、単回投与で長期間の効果持続が見込まれるため、患者のQOL向上に繋がるものと思います。