●アンジェス(株):2024/02/14 08:38
慢性椎間板性腰痛症を対象とした米国での後期第1相臨床試験は、2021年4月にトップラインデータとして発表されています。治験結果については投与後の観察期間6ケ月間に続き、12ケ月間を経た結果でも、重篤な有害事象も認められず、高い安全性が確認されています。有効性についても投与後早期に腰痛が大幅に軽減し、腰痛の抑制効果も投与12ヶ月後まで継続したことが確認されています。
NF-κ(カッパー)B とは、活性酸素などによる酸化ストレスなどの刺激が外部から与えられた時に、細胞が炎症反応や免疫反応を惹起させるため活性化する主要な転写因子ですが、 NF-κBデコイオリゴDNAは、人工核酸により遺伝子の働きを制御する核酸医薬の一種で、NF-κB転写因子に結合して炎症性サイトカイン(細胞から分泌される生理活性物質)の放出を抑制し、過剰な炎症反応や免疫反応に起因する疾患の治療で有効性が期待されています。
治験結果については、カリフォルニア大学サンディエゴ校の治験担当医師からも「椎間板起因の腰痛に苦しむ患者さんに対して、画期的な治療を提供する可能性を秘めていると考えます。大幅な痛みの軽減効果とその持続期間を素晴らしい結果と受け止めており、その後の試験でのさらなる評価を期待しています」とのコメントが得られています。
こうした結果を受けアンジェスは、2023年1月30日に、「日本国内にも慢性椎間板性腰痛の患者は多く、国内において製品化した場合に事業性を見込める」として、国内での第2相臨床試験の実施を決定しています。続く3月にはNF-κBデコイオリゴDNAの国内第2相臨床試験への協力に関する塩野義製薬との契約締結を発表しています。
国内における取組み状況ですが最初の2例で20.0mgの安全性試験を行い、独立データ安全性モニタリング委員会から昨年11月29日に安全性及び忍容性が確認されたことで、今後は全国17カ所の医療機関の協力を得て、10mg群、20mg群、プラセボ群の3群での比較試験を実施することになります。
慢性椎間板性腰痛症で苦しむ患者は国内で167万人程度と推計されており、現在は内服・外用薬治療など対処療法が主に行われています。NF-κBデコイオリゴDNAは単回投与で長期間の効果持続が見込まれるため、患者の受けるメリットも大きいと言われています。