●アンジェス(株):2023/12/02 13:14
「NF-κ(カッパー)B」についてはアンジェスのIRでも説明されていますが、活性酸素などによる酸化ストレスなどの刺激が外部から与えられた時に、細胞が炎症反応や免疫反応を惹起させるため活性化する主要な転写因子のことを言います。
NF-κB デコイオリゴDNAは、このNF-κB転写因子に結合して炎症性サイトカイン(細胞から分泌される生理活性物質)の放出を抑制し、過剰な炎症反応や免疫反応に起因する様々な疾患の治療における有効性が期待されています。これまで慢性椎間板性腰痛症に対する治療は、消炎鎮痛剤などによる対症療法が中心でしたが、NF-κB デコイオリゴ DNA は過剰な炎症反応や免疫反応を惹起する原因物質を抑制するため椎間板変性症などの病気の進行を抑える効果が期待されているものです。
そのNF-κBデコイオリゴDNAによる慢性椎間板性腰痛症を対象とした国内第Ⅱ相臨床試験の投与が開始されたのは10月18日でしたが、その臨床試験の経過に関するお知らせが11月29日のIRで発表されています。
国内におけるNF-κBデコイオリゴDNAの第2相臨床試験は目標症例数が92例となっていますが、日本での第2相臨床試験の実施に当たっては、先行的に2症例について20.0mgの投与を行い、安全性を確かめてから残る90例の治験を行うことになっていたのですが、11月29日に2症例の治験について、独立データ安全性モニタリング委員会から、安全性が確認されたことが報告されました。
これにより、今後はNF-κBデコイオリゴDNAの第2相臨床試験については、IRで発表された第Ⅱ相臨床試験の概要に基づき、10mg群、20mg群、プラセボ群の3群に分類した比較試験を実施していくことになります。独立データ安全性モニタリング委員会で20mg投与の安全性が確認されたことから、その2例を含む92例の本格的な国内第2相臨床試験が今後、取り組まれることになります。
国内第Ⅱ相臨床試験の結果については、予定症例数92例の患者登録と治療を終えた後、1年程度の経過観察を経て発表されますが、治験結果が良好であれば次のステージとなる第Ⅲ相臨床試験に向けて塩野義製薬と協議することになると思います。