●アンジェス(株):2024/02/13 08:47
アンジェスは2012年10月に、田辺三菱製薬とHGF遺伝子治療用製品コラテジェンの米国における末梢性血管疾患を対象とした独占的販売権許諾契約を締結しています。また、2015年6月に国内の独占的販売権許諾契約を締結しています。
米国及び日本国内でのコラテジェンの販売についてアンジェスが、国内で最も歴史のある医療用医薬品メーカーである田辺三菱製薬と独占的販売権許諾契約を締結することができたのかについて述べてみたいと思います。
アンジェスの創業者と言われている大阪大学の森下竜一氏が、米国のスタンフォード大学に留学したのは1991年から1994年の3年間ですが、帰国後の研究テーマは、肝臓の最も強力な再生因子であるHGFが血管再生機能の可能性を有することに着目した研究開発でした。実際、森下氏の研究により、「HGFの非常に強力な血管再生作用」が見い出され、用途特許の申請を検討した経過があります。
しかし、HGFの物質特許はすでに三菱東京製薬(当時)が押さえており、HGF遺伝子を用いて肝臓再生を試みる実験が行われていたのです。そこで、森下氏は三菱東京製薬の富澤龍一社長(その後三菱化学社長)と面談し、「日本でHGFの研究をしたいので、特許を使わせてほしい」と依頼し、HGF遺伝子物質特許のライセンシングの了解を得ているのです。こうした経過があり、アンジェスがコラテジェンの米国、及び日本国内での販売について、田辺三菱製薬と独占的販売権許諾契約を締結することができたのだと思います。
コラテジェンの条件解除を求める本承認の申請は2023年5月に厚生労働省へ提出し受理されています。また、米国での後期第2相臨床試験も9つの州で20箇所の医療機関の協力があり、投与後の1年間の経過観察も2023年12月に終えています。脱落例を想定し数例の経過観察も、2024年3月には終了することになり、それらの治験結果の分析も2024年5月には完了すると言われているので、注目していきたいと思います。