●アンジェス(株):2023/12/29 08:11
イスラエルのテクノロジーニュースサイトの「CTech」に、12月20日に配信された「AnGesは2億5000万ドルの買収から3年後に110人のEmendoBio従業員を解雇」とする記事が、掲示板で論議を呼んでいます。
こうした事態に立ち至った理由としては、「CTech」の記事の中でも報じられていますが、「2020年の買収後、アンジェスはイスラエルと米国のすべてのセンターで、エメンド社の事業活動を継続的に維持し続けると述べていましたが、アンジェスの株価は近年、急落」し、アンジェスの資金調達が難しいことが背景にあります。
前回の第42回新株予約権の行使によって調達できた金額は約45億9900万円で、調達予定資金よりも約39億1100万円下回るものでした。その調達資金はエメンド社の運営資金に充て、39億3700万円の未充当分と合わせた85億3600万円を2023年1月~2024年12月までの2年間分の予算に組み替えてきた経過があります。
しかし、第43回新株予約権の行使状況を見ても、行使が12月に入ってから進んでいない状況です。これでは第43回新株予約権行使以降の取り組みとして想定していたエメンド社の2024年12月までの未充当額39億3700万円の捻出が厳しくなっていることに加え、パレスチナとの戦争で研究環境が悪化していることもあり、ニュースサイトである「CTech」が報じたような事態になったと思います。
そこで、エメンド社の従業員に対して、親会社としてのアンジェスが通告した110名にも上る解雇通告の意味ですが、ほぼ取締役メンバーを除いて全員に該当する人数であるので、いわゆる整理解雇とも異なる性格があります。さりとて、エメンド社をたたむ目的での解雇なのかと言えば、それも違うと思います。
基本的には、エメンド社の運営資金不足が完全に露呈する2024年前に、先手を打ってレイオフ的な一時解雇の通告を行い、親会社としての資金援助が今後、可能なのかどうか、また、エメンド社自身による収益確保をどのように進めるのかの検討が進められると思います。その具体的な進捗状況を判断し、漸次、職場復帰を図っていくのではと思います。ただ、現状では全員の職場復帰は困難ではないかと思います。
企業戦略に関わることなので、アンジェスからの説明を待ちたいと思います。