●アンジェス(株):2023/10/19 08:50
昨日の10月18日、アンジェスは慢性椎間板性腰痛症治療用NF-κBデコイオリゴDNAの国内における慢性椎間板性腰痛症を対象とした第Ⅱ相臨床試験における投与を開始したことをIRで発表しています。
このNF-κBデコイオリゴDNAの米国での後期第1相臨床試験のトップラインデータについては2021年4月に発表されていますが、治験結果については、米国での治験責任医師である、カリフォルニア大学サンディエゴ校医学部長のスティーブン・ガーフィン教授は「椎間板起因の腰痛に苦しむ患者さんに対して、画期的な治療を提供する可能性を秘めていると考えます。大幅な痛みの軽減効果とその持続期間を素晴らしい結果と受け止めており、その後の試験でのさらなる評価を期待しています」と述べています。
その後アンジェスは2023年1月に、「日本国内にも慢性椎間板性腰痛の患者は多く、国内において製品化した場合に事業性を見込めると判断し、日本国内において第Ⅱ相臨床試験を行うことを決定した」と発表していますが、やっと昨日、国内での第Ⅱ相臨床試験が開始されたことが報告されています。
第Ⅱ相臨床試験の概要では目標症例数は92例となって、詳しい実施内容が報告されておりませんが、昨日のフィスコレポートでは「最初の2例で今回の試験で最大投与量となる20.0mgの投与を行い、安全性及び忍容性を確認したのちに10mg群、20mg群、プラセボ群の3群に分類して比較試験を実施する」と報告されていますので、その方向で臨床試験が行われるものと思います。
椎間板は椎体と椎体の間に存在し脊柱に可動性を持たせながらクッションとして衝撃吸収の役割を果たしていますが、椎間板は常に力学的負荷を受けており、加齢やストレスなどで椎間板の中央に存在する髄核の水分が減少し、弾力性が低下していきます。そして、腰の痛みが長く続く慢性椎間板性腰痛症になると、患者の日常生活に大きな支障を来たし、仕事の継続も困難になる事態が生じます。
アンジェスが2023年3月に発表した「事業計画及び成長可能性に関する事項の開示」の中で、椎間板性腰痛症で苦しむ患者は国内で167万人程度いると報告されています。NF-κBデコイオリゴDNAは単回投与で長期間の効果持続が見込まれるとのことなので、国内第Ⅱ相臨床試験が成功するよう期待したいと思います。