●アンジェス(株):2023/03/28 08:03
【Forbes JAPAN】2023.03.25掲載
「ひとりでも多くの患者を救済したい」 強い信念が
ゲノム・ビジネスを加速させる(その2)
「遺伝子治療には、第1世代のプラスミドDNA技術、第2世代のウイルスベクター技術がありました。それらは患者の遺伝子配列に新たな配列をプラスして疾病を治療するという挑戦です。アンジェスは、第1世代の製品開発を行っていましたが、安全性の問題が潜む第2世代の製品開発への移行には躊躇していました。
「遺伝子治療には、第1世代のプラスミドDNA技術、第2世代のウイルスベクター技術がありました。それらは患者の遺伝子配列に新たな配列をプラスして疾病を治療するという挑戦です。アンジェスは、第1世代の製品開発を行っていましたが、安全性の問題が潜む第2世代の製品開発への移行には躊躇していました。そんななかで出合ったのが、ゲノム編集技術です。大きな希望を感じたのですが、同時にクリスパー・キャスナインでも解決できないオフターゲット効果の可能性を拭うことができなければ、新たな進展は望めないとも思いました」
誤って意図せぬ遺伝子を改変してしまい、異形のクローンを生むホラーストーリーの可能性を完全に排除するための、山田の模索が始まった。
<エメンド社が提示したブレイクスルー>
模索の果てに山田は、米国の遺伝子編集企業・エメンドとの出合いを果たす。同社のCEOのデイビッド・バラムは、ノーベル化学賞受賞歴のあるアダ・ヨナス教授のもとで研究を重ねてきた。バラムは研究者であるだけではなく、アントレプレナーとして数社を立ち上げた実績も有していた。「問題を見つけ出し、技術的に正しいソリューションを提供する、そのために会社を設立する。私にとってアントレプレナーであることは、ごく自然なことでした」
そんなバラムが立ち上げたエメンドは、武田薬品工業をはじめ数多くの大企業から続々と支援を受けて成長してきた。山田は、最初は投資先のひとつとして同社にアプローチしたという。