●アンジェス(株):2023/02/27 09:15
オーストラリアで実施された高血圧症を対象としたDNAワクチンの第1/前期第2相臨床試験は、18〜79歳の軽度から中等度の高血圧患者を対象として実施したものです。治験結果については2021年7月に、日本高血圧学会の公式英文誌である「Hypertension Research」に大阪大学の中神啓徳・森下竜一教授、アンジェスからは山田英・石濱哲也氏などの各氏の連名で、論文が掲載されました。
発表された論文の要旨は、安全性に問題がなく、DNAワクチンを投与した患者では、特に高用量群で抗アンジオテンシンⅡ抗体の産生が多く認められ、同ワクチンに対する忍容性は良好との結果でした。なお、DNAワクチンを投与した患者では、特に高用量群で抗アンジオテンシンⅡ抗体の産生が多く認められ、全体として同ワクチンに対する忍容性は良好な結果とのことです
。ただ、抗体価については被験者ごとでバラつきがあり、今後分析する必要があるとしており、血圧降下作用といった有効性についても別の形でデータをまとめていく予定とされています。第1/前期第2相臨床試験結果では、軽度から中等度の高血圧患者を対象としてきましたが、高用量群で抗アンジオテンシンⅡ抗体の産生が多く認められことから、今後の臨床試験では高血圧症のなかでも重度のグレードの患者をターゲットにした開発が検討されていくのではと思います。
なお、2月10日に発表された2022年12月期決算短信の中では、高血圧DNAワクチンについて、「今後の開発につきましては、プラスミドDNAの発現に関して、新型コロナウイルスのDNAワクチンとは異なる改善策などの検討を進めてまいります」との方針が打ち出されています。
アンジェスが開発している高血圧DNAワクチンは、「DNA-ペプチド併用ワクチン」ですがが、折しも、ペプチド開発に取り組んでいるファンペップ社が尋常性乾癬を対象疾患とするオーストラリアで実施中の第Ⅰ/Ⅱa 相臨床試験で、安全性及び忍容性が示されるとともに、抗体価の持続的な上昇(陽性率 約8割)が確認されたと報告されています。 ペプチドの医療への適応に関しては、様々な分野での研究が行われていますが、ファンペップ社のペプチド研究開発が、アンジェスの開発する高血圧ワクチンの改善にもつながっていくことを期待したいと思います。