●アンジェス(株):2022/11/26 08:12
【医薬通信社】11.25配信
さらなる有効性・安全性データ収集によりゾコーバ育薬に尽力
塩野義製薬手代木会長兼社長CEO
塩野義製薬の手代木功会長兼社長CEOは24日、東京都内で開かれた「COVID-19説明会」で会見し、22日に緊急承認された新型コロナ経口治療薬ゾコーバについて、「ゴールではなく、単にスタートラインに立ったところである」と強調。その上で、「これから真摯に有効性・安全性のデータを収集してゾコーバを育薬していきたい」と抱負を述べた。
また、ゾコーバがオミクロン株の5症状を24時間短縮する意義を指摘する声に対しても、「今ある3つの新型コロナ経口治療薬の中でウイルス減少効果は負けていない。ウイルス減少は、治療薬として非常に重要なポイントになる」と断言し、「ウイルス減少効果と臨床症状改善の関連データを積み上げていく」考えを強調した。
新型コロナ感染症の症状改善効果検証については、パキロビッドもデルタ株の下で実施した海外P3試験で失敗している。手代木氏は、「デルタ株もオミクロン株も臨床症状の改善を示す臨床試験には大変苦労している」と明言する。
その理由は、「1918年のスペイン風邪以来100年の歴史を持つインフルエンザは指標となる7症状が限定されている。だが、3年足らずの新型コロナでは、薬効評価にどの症状を指標にすれば良いかの設定が難しい」からだ。
こうした中、オミクロン株に関しては、塩野義製薬が世界で初めて症状改善データを明示した。手代木氏は、「これらのウイルス減少効果と臨床症状改善に関するデータによって、韓国、中国、米国においても十分に皆さんのお役に立てると考えている」と自負する。
塩野義製薬では、ゾコーバの2023年度売上高として1100億円見込んでいるが、「韓国・中国でスピード審査されれば、その分増収になる可能性がある」と示唆する手代木氏。ゾコーバの供給体制にも言及し、「国内は2022年度末までに350万人弱、来年度は1000万人分供給できる。海外では、中国の工場は年末までにフル稼働が可能で、米国の生産拠点も来年早々稼働できる」と述べた。