●アンジェス(株):2022/10/31 13:11
2019年3月に、アンジェスが初めてエメンド社の非上場株を購入する形で投資を行ってから8か月後の2019年11月に、出資額5000万ドル(当時 54.5 億円)の追加投資を行なうことを取締役会で決議し、翌2020年1月と6月の2回に分けて2500万ドルづつ投資を行い、エメンド社を持分法適用関連会社にしています。
当時、エメンド社への追加投資に対して、山田社長は次のように語っています。
「エメンド社の出資に関しては、我々の身の丈を考えると、大きい投資金額です。時間軸については一概には言えませんが、エメンド社はニューヨークにヘッドクオーター(本社)を持っいて、然るべきタイミングで米国で上場するということを視野に入れて動いております。エメンド社が上場するかどうかは、出資時の評価の対象には入っていませんが、OMNIプラットホームという新しいゲノム編集技術を使って従前のゲノム編集技術より優位な形で展開できるかどうかが第一の視点です。ただし、上場することによって私共の投資効果が上がる可能性もございます。エメンド社が、どのタイミングで上場するかはわかりませんが、私どもが事業をする上では何から始めて、具体的な形で売上を上げるかが大事なポイントです。ここ2年ぐらいは将来像を描く上で大事な時期・ステージだと考えています。」と。
その後、アンジェスは2020年11月にエメンド社を買収することを取締役会で決議し、買収にかかる対価を主に株式発行により充当する方法で、2020年12月15日に完了しています。これにより、アンジェスは、遺伝子治療の方法のうち、DNAプラスミドによる創薬以外に、標的ゲノムの配列を自在に変える技術を用いるゲノム編集技術を手中にしたことによって、「遺伝子医薬のグローバルリーダーを目指す」と言っていた企業目的を実現する橋頭保を築くことが出来たと思います。
今後は、エメンド社が研究を続けてきた重症先天性好中球減少症の治験入りや、家族性高コレステロール血症の次世代治療法の確立を進めながら、OMNIプラットフォーム技術を生かしたライセンス契約を進めると同時に、エメンド社自身が望んでいた開発資金の調達を目的に米国で上場することも選択肢の1つとして検討すべき時期に入ったのではないかと思います。