●アンジェス(株):2022/10/27 13:13
10月13日~17日にかけて、米カリフォルニア州のオークランド マリオット シティ センターで開催された第22国際血管生物学会議において、アンジェスのHGF遺伝子治療用製品の臨床試験の経過報告が行われました。
講演は、アンジェスが米国でHGF遺伝子治療用製品の臨床開発を進めるにあたり、指導を頂いている南カリフォルニア大学医学部のデビッド・アームストロング教授よって行われました。
◆デビッド・アームストロング教授による講演の骨子(広報ブログより)
1.糖尿病性足潰瘍に挑戦する意義
全世界で約4億3500万人が糖尿病に罹患しており、19-34%(約8,300万-1億4800万人)が糖尿病性足潰瘍を発症すると推定されています。糖尿病性足潰瘍の5年間における死亡率は約30%で、各種がん患者を平均した死亡率に相当します。
また、一度治癒した患者の潰瘍の再発率は、1年後では40%、5年後では65%と高い状況です。
米国における糖尿病治療の費用(直接費、2017年推計)は2370億ドルで、その1/3が糖尿病性足潰瘍の治療に関連すると推定され、その額はがん患者の治療費(800億ドル、2015年推計)に相当します。がん治療への挑戦はよく知られていますが、糖尿病性足潰瘍の治療はこれに匹敵するような大きな課題です。
糖尿病性足潰瘍に対して今後期待される治療は、
1)細胞治療
2)組織特異的リモデリングによる皮膚再生
3)グロースファクター(遺伝子治療を含む)
4)酸素暴露(局所、全身)などが考えられますが、
HGF遺伝子治療用製品による遺伝子治療は「3)グロースファクター(遺伝子治療を含む)」に位置づけられ、早期の実用が望まれています。
2.アンジェスの臨床プロトコールの紹介
HGF遺伝子治療用製品の、側副血行(注)を含む血流増加作用、この作用機序に基づいた糖尿病性足潰瘍への有効性、ならびに高い安全性が総括されました。 またグローバル治療指針(Global Vascular Guideline)に則り、米国での後期第2相臨床試験は順調に進捗しており、現在は目標症例の90%の登録が完了しました。
★注:側副血行(そくふくけっこう)とは
血行障害により主要な血管に閉塞が見られた際に、血液循環を維持するために新たに自然形成される血管の迂回路