●アンジェス(株):2020/07/31 04:03
【医薬通信社】(その2)
大阪大学大学院臨床遺伝子治療学:森下竜一教授に聞く
コラテジェンの有用性とHGF遺伝子治療の展望 !!
だが、HGFの物質特許は三菱東京製薬(当時)が押さえており、HGF遺伝子を用いて肝臓再生を試みる実験が行われていた。
そこで、森下氏は、三菱東京製薬の富澤竜一社長(当時、その後三菱化学社長)と面談し、「日本でHGFの研究をしたいので、特許を使わせてほしい」と依頼し、HGF遺伝子物質特許のライセンシングの了解を得た。
森下氏と富澤氏のファーストネームが同じ“竜一”であったこと、今回田辺三菱製薬から「コラテジェン」が発売されたことを考えると、非常に感慨深いものがある。
こうしてHGF遺伝子の物質特許・用途特許を併せ持った森下氏は、HGF遺伝子による血管再生治療の実用化に向けて、1999年11月、大阪大学発のベンチャー企業「メドジーン」を設立。
2001年には、商号をメドジーンからアンジェスエムジーに変更した。アンジェスは、HGF遺伝子が有する血管新生作用の「アンジオジェネシス(英語)」と、難病救済の天使を意味する「アンジュ(仏語)」を掛け合わせた造語で、それに、メドジーンの略語のエムジーを付けてアンジェスエムジーとした。
2002年には、大学発ベンチャーとして初めてマザーズに上場。さらに、社名をアンジェスに変更して現在に至る。
その間、HGF遺伝子による血管再生治療薬は、大阪大学の臨床研究を経た後、販売先として第一製薬(当時)との間で契約が締結された。
P3試験はアンジェスが実施し、プラセボに対する安静時疼痛および、潰瘍サイズ減少で有用性が示された。これらのデータをもとに、国内承認申請したものの、「治験症例数(40例)が少ない」との理由で厚労省との話し合いが持たれて、一旦承認申請が取り下げられた。
その後、新たな「期限承認付き承認制度」発足に伴い、先進医療Bのデータを付け足して再申請し、本年3月26日、日本で初めての遺伝子治療薬として認可された。
「コラテジェン」は、日本初の遺伝子治療薬、世界初のプラスミドDNA、世界初の血管再生遺伝子治療薬、日本初の大学ベンチャーからのオリジナル医薬品など、初物尽くしの承認となった。