●アンジェス(株):2022/08/04 12:55
アンジェスとカナダのバソミューン社が共同開発を進めている新型コロナウイルス感染症の重症化を改善する治療薬「AV-001」についての前期第Ⅱ相臨床試験が2022年1月に開始されましたが、目標集積症例数は約120例で米国の15施設の協力を得て実施されているものです。
この前期第Ⅱ相臨床試験の一次完成の時期は、当初2022年5月予定とされていたのですが、世界中で実施されている民間および公的資金による臨床試験のデータベースの「ClinicalTrials.gov」によると、バソミューン社が取り組んできた血管不全を原因とする急性呼吸窮迫症候群の治療薬「AV-001」の前期第Ⅱ相臨床試験の治験の取り組みに関する変更報告が6月1日に出されており、研究の完了が2023年5月予定に変更となっています。
この理由は、米国におけるコロナウイルス感染者数が2022年1月を境に急速に減少したことによって、治験の目標症例120例の確保が充足されなかったことによると思います。米国における感染状況を見ると、2022年1月のピーク時には80万から90万人台の感染者数が、3月中旬は全米で数千人規模まで減少しましたが、5月に入ると徐々に増加し、6月以降現在まで10数万人規模の感染状況が続いています。
こうした、感染状況の推移をみると、米国でも新型コロナウイルスが「BA.2」系統」から「BA.5」系統へと置き換わりが進んでいるものと思います。「BA.5」型変異株の場合は感染力が強いだけではなく、ウイルスの肺への侵入力があるとの研究発表もあるので、重症化を防ぐ「AV-001」治療薬が必要です。
経過から見ると、臨床試験のデータベースの「ClinicalTrials.gov」に6月1日、「AV-001」についての前期第Ⅱ相臨床試験の一次完成の時期が2023年5月と変更されましたが、その後の感染状況の推移をみると、あるいは年内までに完了する見通しが立つのではないかと思います。依然として、バソミューン社が取り組んできた血管不全を原因とする急性呼吸窮迫症候群の治療薬「AV-001」の開発の意義は変わることがないので、治験結果を待ちたいと思います。