●アンジェス(株):2022/01/27 08:10
新型コロナウイルスに対する免疫系の反応を活性化させるためにプラスミド(環状DNA)を使用した、新型コロナウイルス感染症ワクチンが昨年、インドで緊急使用承認を取得しています。2022年初頭には5000万人分の製造が可能とのことなので、これから本格的な実用化に入ると思います。
ザイコブDと呼ばれるこのワクチンは、注射針を使わずに特殊な器具で皮膚に接種されます。臨床試験ではCOVID-19に対して67%の発症予防効果があることが確認されています。有効性は他の多くのCOVID-19ワクチンと比べて高くはないが、DNAワクチンであることに価値があると研究者たちは評価しています。
アンジェスのDNAワクチンについては今振り返ってみると、大阪市立大学医学部附属病院での第1/2相臨床試験はIRでも表示されているように初めから低用量で治験が開始されているのです。
DNAワクチンはmRNAへ転写しなければならないことからmRNAワクチンより有効性が低いことは既に知られているところなのに、第2/3相試験まで低用量の治験を続けてきたのです。この判断については当時、DNAワクチンの大量生産体制が整備されていないことが背景にある中で、オリンピックに対応するには低用量のまま、出来るだけ多くの方への供給を目指したことが背景にあると思います。当然、治験方針については規制当局であるPMDAとの協議の上での実施なのですが、ワクチンの製造に当たるものとしては、安全性と有効性を加味したワクチンをまず製造し、その上で製造体制の整備を求めるのも一つの選択肢であると思います。
こうしたこともあり、結果的にはファイザーやモデルナのmRNAワクチンの効果から見て、アンジェスのワクチンについては有効性を高める必要があるということで方針転換を余儀なくされたたのです。
高用量製剤による治験結果については、大阪大学医学部附属病院で実施された第1/2相臨床試験の中で2㎎、3回投与の場合、2㎎、2回投与の抗体陽転率が60%から70%と高くなっていることから、投与量を増やすことによる効果が高まることは予想できること、そして抗体産生力が増すと言われる皮内投与も実施されているので、治験結果が良いものであることを期待したいと思います。