●アンジェス(株):2022/01/22 22:17
1月17日に開催された国会も岸田首相に対する各党代表質問が開始されて、本格的な論戦が始まりました。当初政府は医療従事者や病床を確保する行政権限を強める感染症法の改正を検討していたが、今国会への提出を見送っています。
確かに悠長に過ぎるとの批判があるが、これほどのスピードでオミクロン株が急拡大となったことは政府にとっても想定を超える事態と言えます。
であればこそ、今国会に上程される医薬品やワクチンを迅速に承認するための緊急承認制度についての迅速な審議をお願いしたいと思います。
これまで日本は、米国やEU諸国で制度化されている緊急時の薬事承認制度がなかったことから、海外ワクチンの入荷に当たっては特例承認制度で対応してきたが、
ただ、特例承認はあくまで海外で緊急時に承認されたワクチンが流通していることが前提で、日本で開発された国産ワクチンなどの新規成分の承認は対象になっていないのです。
これでは日本の経済安全保障の観点から、感染拡大時に入荷を見込んでいた海外ワクチンの入荷が困難となる事態や、新規の新興感染症が発生した場合に対応できなくなる事態が生じます。そのために昨年6月のワクチンサミットを一つの起点に、これまで医薬品医療機器制度部会で緊急時の薬事承認の在り方が検討されてきたのです。そして最終的に昨年の12月27日の制度部会で、緊急時に迅速に承認や使用許可が出せるための法案整備が最終的に確認されたのです。
緊急時の薬事承認の法案については、1月22日に上程予定と言われてきましたが現段階では法案の内容は明らになっておりません。が、法案の骨子としては欧米諸国の緊急承認制度を参照し骨格が作られるもので、ワクチン、医薬品などが国民の生命や健康に重大な影響を与える恐れがある疾病や健康被害の拡大防止が必要な緊急時に発動されるものです。
緊急使用の承認にあたっての評価については、安全性は従来と同水準の「確認」を要求する一方、有効性はその可能性が合理的に「推定」されるだけの情報が収集されれば、リスクとベネフィットのバランスを考慮した上で承認されると思います。具体的な「有効性の推定」は、入手可能な治験成績で有効性が十分に推定できることなどを指すので、従前の承認制度より迅速な承認が可能となり、国産ワクチン開発の前進に繋がります。国会での迅速な審議を要請したいと思います。