●アンジェス(株):2021/07/07 11:20
政府は先月1日に閣議決定を行い、国産ワクチンの国家戦略を決定した。菅総理は
「ワクチンサミット」で、官民一丸で国産ワクチンの実用化に取り組む姿勢を世界にアピールした。あれから、はや1ヵ月余が経過した。
その間、国産ワクチンの推進に向けて、これと言った取り組みがされていない。菅総理も、折りに触れて国産ワクチンの重要性を語るが、しかし、それを担うべき省庁は「笛吹けど踊らず」である。これを打開するには、自民党政務調査会で提言しているように、内閣官房の中に国産ワクチンを強力に推進する「司令塔」を作り上げ、そのサポートのもとで省庁間の垣根を取り払いながら国家戦略を担う担当大臣を新設することが最低限必要です。
感染力の強いデルタ株が徐々に拡大し、オリンピックを前後して更に感染が拡大すれば、国民の命や健康を脅かすだけではなく、経済や社会に大きなリスクとダメージを与えることになることは明らかです。多くの飲食業界や観光立国を支えてきた旅館やホテル業界も、そして交通各社や航空業界もぎりぎりのところで、踏ん張っているのが現状です。
このコロナ禍を解決するのはワクチンや治療薬の開発が必要です。当面は海外ワクチンに依存せざるを得ない状況ではあるが、国の安全保障上の観点からも国産ワクチンの開発は必要です。そのためにも国産ワクチン推進の国家戦略の大きな柱の一つになっていた薬事承認プロセスの迅速化に早急に着手することが不可欠です。
日本には欧米はもとよりですが、今回、インドがDNAワクチンの緊急使用を申請した承認制度は残念ながら、いまだに法制化されていないのです。また、製薬業界や日本ワクチン学会などが提言したワクチンの条件付き・早期承認には、田村厚労大臣は消極的と伝えられているので、残る選択としては国内で特例承認を受けている海外ワクチンと比較して安全性や有効性が確認されれば承認される方向が模索されています。
そこで、規制当局が実施する新たな第3相に当たる治験に参加する企業には、第2相までの治験結果で安全性や有効性が確認できれば、その段階で一定量のワクチンの買い上げを国が約束し、承認を得られた段階でスムーズに接種が開始できるように備えるべきです。国家戦略として打ち出した以上、掛け声倒れに終わらせてはならないのです。