●アンジェス(株):2021/03/21 04:12
大阪大学大学院:臨床遺伝子治療学の
中神啓徳先生がDNAワクチンについて語る(2)
ーーーファイザー社やモデルナ社のmRNAワクチンは筋肉
に接種しますが、ワンタイムエネルギーを使ったデバイスで皮膚の浅いところに入れるメリットは何でしょうか。
【中神】皮膚の一番浅い皮内には、筋肉より多くの免疫細胞が存在するということです。ですから、より少ない薬液の量の投与でも効果があると考えています。通常の5分の1から
10分の1となる可能性があります。
このデバイスは10年ほど前からこの技術を持つダイセル社さんと一緒に開発を進めてきたのですが、どういった治療に応用できるか検討の段階だったんですね。かって、糖尿病治療のインシュリン投与で、ばね式の無針注射器が開発されたことがあったのですが、ワンタイムエネルギーを使ったものは実用化されていませんでした。
このデバイスは精密に狙ったところに注入できることもあって、注射器よりコストはかかります。そこで、より正確な投与が求められるワクチンへの活用を考えました。
そこに100年に一度ともいえる感染拡大が起こり、DNAワクチンが急務となったため、このデバイスを活用したワクチン研究を進めることにしました。
デバイスのダイセル社さんは、昨年の緊急事態宣言中は休業をしていたのですが、工場はずっと動かしてくださって、2020年11月の臨床試験に間に合わせることができました。
ーーーデバイスはどんな構造になっているのですか。
【中神】3つのパーツに分かれていまして、皮膚に接するパーツに薬液を詰めます。この部分は1回ずつ使い捨てですね。現在の治験は数十例の段階ですので、薬液は手作業で詰めていますが、実用化されて大量に作ることになれば一体型にすることもできるかもしれません。
ーーーこのデバイスは医師や看護師が打つのでしょうか。
【中神】このデバイスも注射器としての扱いなので、おなじように医師や看護師が打つことになります。