●アンジェス(株):2021/03/21 04:13
【宝島社出版:ワクチンがすべてわかる本】より抜粋
大阪大学大学院:臨床遺伝子治療学の
中神啓徳先生がDNAワクチンについて語る(1)
・…………………………………………………………………………………………・
【中神】私たちが研究開発を進めているDNAワクチンは、スパイクの設計図(遺伝子)の部位をプラスミドというDNAに入れて、プラスミドDNAというものを作ります。それをワクチンにして接種すると、スパイクの設計図を元に体内でスパイクタンパク質が作られ、それを狙う抗体と、細胞性免疫が立ち上がるという仕組みです。
ーーーそうやって体内で免疫ができると、外からウイルスが入ってきた時にもブロックできるということですね。
【中神】このワクチンを投与する方法は2つあります。1つは、注射器で筋肉内に打つもの。これはアンジェスさんが進めている技術です。私たち大阪大学で進めているのは、新しいデバイスをを使う方法です。
ーーーデバイスというのは、注射器に代わる道具、みたいなことでしょうか。
【中神】そうです。注射器を使わないもので、「無針投与デバイス」と呼んでいます。薬液をものすごい速度で皮膚にピシャっと当てます。そうすると、薬液は皮膚を通過することができ、皮膚の浅いところ、皮内に入れることができるのです。このデバイスには、ワンタイムエネルギーが使われているんですよ
ーーーそれはどんな仕組みのデバイスなのでしょうか。興味があります。その仕組みを教えてください。
【中神】なぜ針がなくとも薬液を体内に入れられるかというと、このデバイスに仕込まれた火薬によるワンタイムエネルギーが駆動力となっているんです。これは瞬時に最適なエネルギーを生み出せるシステムで、速度や薬液の到達距離などがかなりの精度で調整できるんですね。私もこのデバイスで研究するまで知らなかったのですが、ワンタイムエネルギーは車のエアバックや、飛行機などから飛び出す時に用いるパラシュートなどに使われているそうです。駆動力を最適に微調整することで、薬液を皮内に注入することができ、遺伝子を発現させることができるようになったのです。