●アンジェス(株):2021/02/14 10:32
厚生労働省は31日までに、遅れが指摘される国産の新型コロナウイルス感染症ワクチンの開発を加速させるため、国内企業が大規模な臨床試験(治験)を実施する場合に費用を補助することを決めた。海外の医療機関と連携して多くの参加者を集める国際的な治験を念頭に置いている。2020年度第3次補正予算に約1200億円を計上した。
国内では、塩野義製薬や第一三共など複数の企業が従来の技術や新技術を使って開発を進めているが、欧米より遅れている。実用化の見通しは立っていないが、海外製は日本への出荷量が不安定になるリスクもあるため、国会でも国産ワクチンの開発促進を求める声が議員から上がっていた。専門家からも「遅くても安全で効果の高いワクチンが開発できれば、選択肢が増える」との意見がある。
国産ワクチンは、少人数を対象に実施する初期段階の治験が終わって次の段階に進みつつある。最終段階では、数万人の被験者を本物のワクチンと偽薬を接種するグループに分けて、発症した人の数を比較し、有効性を確かめる必要がある。
しかし、欧米より感染者が少ない日本では、国内だけで分析するのに十分な数の発症者を集めるのが難しいという問題がある。海外でも参加者を募れば実施できるが、多大な費用がかかるため二の足を踏む企業もあり、費用を支援することにした。
支援の対象は、既に生産体制の整備費用を補助している企業を想定。大規模治験を実施する場合にかかる専門業者への委託費やワクチンの輸送費を補助する。
(共同)