●アンジェス(株):2020/12/26 23:07
【日本経済新聞】
「感染症対策、長期戦略を」!!
塩野義製薬の手代木功社長 :自国ワクチンで交渉力
新型コロナウイルスワクチンの接種が海外で始まった。政府主導で企業の早期開発を後押しする欧米勢に対し、日本勢は開発で後れをとっている。ワクチン開発に新規参入した塩野義製薬の手代木功社長に課題を聞いた。
――日本の開発スピードはなぜ遅いのですか。
「感染症対策は安全保障の問題だ。海外では非常事態を想定して様々な対策を長期にわたって進めてきた。例えば米国では鶏卵でワクチンをつくれなかったらどうするのかなど、あらゆる事態を想定して新技術の開発を支援してきた」
「日本はワクチンを開発できる企業がそもそも少ない。かつて新型インフルエンザのパンデミック(世界的な大流行)が起きた時、ワクチンの生産体制構築に総額1000億円近い予算を投じた。だがパンデミックは起きず、支援も終了した。日本の対策は継続的ではなく、技術基盤が育っていない」
――企業努力でカバーできますか。
「感染症対策は古くて新しい技術といわれる。新薬を創出しても最初の医薬品の価格が基本となり、高い価格で販売するのが難しい。100円の抗菌薬に対して200倍の効果がある新薬が生まれても、2万円では納得されない。がんなどと比べてイノベーションが評価されにくい」
「研究には細菌やウイルスのライブラリーを構築する必要があり、その維持だけで年間数億円かかる。病原体は変異し、薬理効果の証明にも時間がかかる。長期にわたって研究と投資をしても収益性が低い。開発が進まなかった最大の理由が採算だ」
――海外からのワクチン輸入をどう捉えていますか。
「日本は欧米勢からの輸入に期待をかけているが、最低限2~3の技術基盤と自国で製造できる能力を確保する必要がある。生産能力ゼロなら先方の言い値をのむしかない。全国民分は無理だが、必要量の3分の1から4分の1を自国で確保できれば、技術提供や交換といった交渉も可能になる。日本では原料や原薬ですら海外依存が深刻だが、一定程度は内製化できる体制が必要だ」
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◆塩野義の手代木社長の話を聞くにつけベンチャー企業であるアンジェスが、蓄積してきた研究技術があるとは言え、よくぞワクチン開発に挑戦してきたと改めて思います。