●アンジェス(株):2020/09/22 06:28
昨年10月上旬、2ドル台であった「イノビオ」の株価は、新型コロナウイルス感染症に対応するワクチン開発に着手して以来、株価が大きく上昇し、今年6月には、一時33ドル以上の高値を付けた。
その後、利益確定売りと、米国政府の「ワープ・スピード作戦」の対象ワクチン(INO-4800)に一旦なったものの、量産化に苦戦し、「ワープ・スピード作戦」から選任を得られなかったこともあり、9月上旬には9ドル台まで株価が下がりました。しかし、株価に一時的な下げは、イノビオのワクチンは開発結果の問題があるわけではないことから再び株価が上昇に転じています。
イノビオの第1相臨床試験の予備的分析でも、ワクチンの投与の結果は安全で忍容性が高く、深刻な副作用は見られませんでした。さらに追加群に高齢の参加者を加え、規制当局の同意を得た上で今夏、第2/3相有効性試験が開始されています。またイノビオのワクチンは、室温で1年以上変質せず、パンデミックとの戦いで集団予防接種を行う際の重要な要素である、輸送中や何年も保管する際の冷凍が不要なDNAワクチンと語られています。
では、なぜイノビオがワクチンの量産化で苦戦しているのか。これは、ワクチンの投与にエレクトロポレーションと言って、人の体の表面に電気を通して遺伝子を挿入する機械が量産できないことから、アメリカのワクチン選定リストから外されたと言われています。
アンジェスの第一世代のDNAワクチンはパンデミックに対応することを目的にしたものであり、第1/2相臨床試験は普通の筋肉注射を使用しています。この第一世代ワクチンと言われているDNAワクチンでも、動物を対象とする非臨床試験の結果、安全性及び抗体価を上げるワクチンとしての有効性は確保されています。
それをさらに発展させた第二世代ワクチンとして、DNAワクチンにプチペドワクチンを組み合わせて、抗体価を上げる第2世代ワクチンが、年内に治験に入るとのこと。そうすると、有効性が高まり、使用量が少なくて済むことから製造コストが大幅に削減可能となります。
また、ダイセルの針なしの注射器でワクチン投与した方が抗体価が高まるので、年内に治験の予定です。いずれの場合でも、ワクチンの量が少なくて済むので、量産化に道を開くことになります。着々と前進していることが確認できます。