●アンジェス(株):2020/05/05 04:55
日本経済新聞:電子版(その1)
PCR検査について、「目詰まり」を首相認める
対応遅れが出口戦略の壁に!!
新型コロナウイルスに関する政府の専門家会議は4日、国内のPCR検査数が国際的に少なく、新しい感染症の流行に対応する検査体制が整わなかったとする分析結果を公表した。安倍晋三首相も同日の記者会見で、伸びない検査件数について「目詰まり」と表現した。議論が進み始めた経済再開の可能性は感染者数の適切な把握なしでは見込めない。検査を巡る対応の鈍さは出口戦略を描けない最大の要因になっている。
首相は4日、PCR検査について「人的な目詰まりもあった。実行は少ないというのはその通りだという認識をもっている」と述べた。同席した専門家会議の尾身茂副座長も「日本はPCRの件数を上げる取り組みが遅れた」と話した。
専門家会議が4日公表した資料では、人口10万人当たりのPCR検査数を海外と比較した。日本の187件に対し、主要国は数千件で、対応の遅れは歴然としている。
検査体制の拡充が遅れた要因として専門家会議が指摘したのは、国立感染症研究所と都道府県などの地方衛生研究所(地衛研)など公的機関が、感染症のPCR検査を専ら担ってきた特有の事情だ。特に地衛研は感染症法で規定された結核やはしかなどの検査を業務とし「新しい病原体について大量に検査することは想定されず、体制が十分に整備されていなかった」と分析した。
中国・武漢での感染拡大が伝えられたのは1月だったが、専門家会議がが設置されたのは2月下旬と大幅に遅れた。その結果、3月下旬以降、「感染者数が急増した大都市部を中心に、検査待ちが多く報告される」という状態を招いた。