●アンジェス(株):2020/05/03 05:09
<週刊東洋経済>
コロナ危機に世界の指揮者はこう見る!!
著作「2030年ジャック・アタリの未来予測」で、「これまでにない感染症でスペイン風邪と同じくらいの猛威を振るうおそれがある」と警鐘を鳴らしていたジャック・アタリ氏にインタビュー。氏は81年仏大統領特別顧問、91年欧州復興開発銀行総裁など要職を歴任。
……コロナ危機から世界を救うための対策は。
【ジャック・アタリ】次に掲げる二つの優先事項に世界が一丸となって即時に取り組まなければ、世界経済が再始動することはないと自覚すべきだろう。
第一は長期的な課題で、私はこれを「生命経済」と命名する。医療、公衆衛生、食料、教育、文化、情報など人類の暮らしを支えるのが「生命経済」だ。国、そして市場がこれらの産業を機能させる。
第二は短期的な課題だ。すなわち、このパンデミックを終息させるための医薬品とワクチンの開発だ。これは明らかに緊急を要する課題だが、実にわずかな資金しか投じられていない。われわれは現実を直視しなければならない。医薬品とワクチンを開発させなければ、世界中のほとんどの人々は、数年にわたってこの隔離生活を続けなければならないだろう。
……いま世界が取り組んでいる対策は十分ではないと。
【ジャック・アタリ】医薬品とワクチンの開発および配布を迅速に実現するには500億ドルが必要だという。世界経済の下支えのために拠出される10兆ドルと比較すると、これはわずかな金額だ。しかし、この資金は確保できていない。
日本、米国、欧州、世界は医薬品とワクチン開発をするための研究に対して、即時に拠出すべきだろう。
行動を起こすのが早ければ早いほど、効果は高い。来年に延期された東京五輪の開催もワクチンと治療薬が見つかるかに懸かっている。
(聞き手:林哲矢)