●アンジェス(株):2020/01/31 12:26
米医薬品大手ジョンソン・エンド・ジョンソン(J&J)幹部はAFP通信に、同社も新型コロナウイルスのワクチン開発を進めていると語たり、「コンゴ(旧ザイール)やルワンダで使われているJ&Jのエボラ出血熱ワクチン開発で用いたのと同じテクノロジーを活用する」と説明しました。
確かに、エボラ出血熱のワクチンは米製薬大手企業ですでに開発されています。しかし、ギニアなどの現地での試験的接種では重篤な副作用が出たり、ワクチンの製造に手間がかかったりするなどの課題がありました。
その点を、米医薬品大手ジョンソン・エンド・ジョンソンが過去の重篤な副作用などをクリアしてコロナウイルス予防するワクチンを創薬できるかが課題となります。
ところで、アンジェスもかねてより、DNAワクチン技術を応用し、エボラ出血熱対策医薬品として抗血清製剤の開発を進めています。アンジェスが開発を進める抗血清製剤は、エボラ出血熱ウイルスのタンパク質をコードするDNA ワクチンをウマに接種し、その血清に含まれる抗体を精製して製造する治療薬です。
カナダのサスカチュワン大学のワクチン・感染症機構において、当抗血清から精製した抗体を用いた動物による感染実験(動物にエボラウイルスを接種した後にこの抗体を投与)を実施したところ、ウイルス感染による死亡を阻止することが確認されています。この結果は、当抗血清が治療薬として十分に機能することを確認できるものです。
こうして開発経過から言えることは、ジョンソン・エンド・ジョンソン社が開発しようとしている新型コロナウイルスのワクチン開発は「コンゴ(旧ザイール)やルワンダで使われているJ&Jのエボラ出血熱ワクチン開発で用いたのと同じテクノロジーを活用する」と説明しているので、感染予防のワクチンの性格をもつものと推測できます。
アンジェスの開発は同じエボラ出血熱を対象としつつもの、すでにウイルスに感染してしまった患者の病態の重篤化を抑制する治療薬です。
勿論、アンジェスがコロナウイルスの治療薬に取り組む予定は未定だとは思いますが、エボラ出血熱の治療薬の創薬技術を活かして、コロナウイルスに感染した患者の重篤化を防ぐ治療薬を造ることに着目すれば、アンジェスのこれまでのエボラ出血熱に対する取り組みも、新たな意味を持つ展開に繋がると思います。