●アンジェス(株):2024/12/21 10:11
米国で実施されてきた慢性椎間板性腰痛症の治療薬である核酸医薬NF-κBデコイオリゴDNAの後期第1相臨床試験については、2021年4月にトップラインデータが発表されています。治験結果については投与後の観察期間6ケ月間に続き、12ケ月間を経た結果でも、重篤な有害事象も認められず、安全性を確認できました。さらに有効性についても投与早期に腰痛は大幅に軽減し、腰痛の抑制は投与12ヵ月後まで継続し、患者自身からも高い満足度が得られたと報告されています。
この結果を受けて、アンジェスは日本国内にも慢性椎間板性腰痛の患者は多く、国内において製品化した場合に事業性を見込めると判断し、2023年1月に国内において治験に取り組むことを決定し、続く3月には塩野義製薬と国内第2相臨床試験への協力に関する契約締結を発表しています。
国内第2相臨床試験の治験対象者は、18歳以上75歳以下の患者で3ヶ月以上持続する腰痛を有し、中等度から強い痛みのある患者が対象となっています。治験の開始は2023年10月からですが、目標症例数92例のうち、最初の2例については投与量20mgを投与し、2023年11月に独立データ安全性モニタリング委員会から安全性が確認されたので、20mg投与がが30名、10mg投与が30名、プラセボが30名の3組で第2相臨床試験に取り組みを進めています。
現在、国内20ヵ所の医療機関の協力を得て第2相臨床試験が取り組まれていますが、11月8日に発表された2024年12月期 第3四半期決算短信では「日本国内における第2相臨床試験において順調に症例の登録を進めております」と報告されているので、1年間の経過観察期間を考慮すると、国内第2相臨床試験の結果が報告されるのは2026年前半の時期になるのではと思います。
慢性椎間板性腰痛症は、患者の日常生活に大きな支障を来しており、主に生産性の低下と賃金の損失により社会に大きな経済的損失を引き起こすと言われています。医薬品関係の市場統計書を発行しているIQVIA調査資料によると、国内での椎間板性腰痛症の患者数は167万人とのことですので、日本での臨床試験でも良い治療結果が出ることを期待しています。