●アンジェス(株):2024/01/09 18:59
コラテジェンの有用性とHGF遺伝子治療の展望 森下竜一氏(大阪大学大学院
医学系研究科 臨床遺伝子治療学寄附講座教授)に聞く(その5)
一方、HGF遺伝子治療の今後の展望については、「研究者としての見解」と断った上で、「製薬会社には、慢性動脈閉塞症の潰瘍だけでなく、病態が類似する糖尿病や褥瘡、自己免疫疾患などの難治性潰瘍に対しても遺伝子治療の応用を推進してほしい」と訴えかける。
標的細胞内でHGFを発現させるプラスミドDNAは、投与部位が筋肉内に限定される。加えて、血管を徐々に再生させて安全性を確保するという点では優れれいるものの、より難治度の高い疾患に対しては「HGF遺伝子の発現量が少ない」という短所もある。
この短所は、HGFをアデノ随伴ウイルスAVベクターに搭載することで、標的部位での多くのHGFの長期間発現が可能になり解決できる。
ウイルスベクターにHGFを搭載した動物実験では、アルツハイマーや脳梗塞後の認知症、および心不全、心筋症といった心臓領域疾患に対する有用性が認められている。
最後に森下氏は、HGF遺伝子治療の展望として、「プラスミドDNAをベースにした薬剤の適応拡大を図るとともに、アルツハイマー、脳梗塞、心筋梗塞、心不全、ALSなど難治性疾患へのウイルスベクターを活用したHGF遺伝子治療の可能性を探っていきたい」と抱負を述べる。