●アンジェス(株):2023/01/30 09:09
バソミューン社とアンジェスが共同開発しているAV-001は、元々は急性呼吸窮迫症候群(ARDS)の治療薬として開発してきたものですが、新型コロナウイルス感染症による中等度から重度の感染症肺炎患者向けの治療薬としても効果があると判断し、2020年より米国で臨床試験を開始しされたもので、現在は前期第Ⅱ相臨床試験として2022年1月から、米国で取り組まれてきたものです。
けれども、米国での新型コロナウイルス感染症の感染者が急減したこともあり、前期第Ⅱ相臨床試験の一次完成の時期が、当初の予定では2021年5月30日でしたが、臨床試験データベースに2023年5月までと延期した経過があります。
そのため、新型コロナウイルスの変異株によって肺炎による呼吸不全を起こす患者数も減少傾向にあることから、バソミューン社では、新型コロナ感染症による肺炎患者に限定せず、今後は急性呼吸窮迫症候群を含めた肺疾患への対応を検討して来ました。その後、AV-001の臨床試験の対象疾患については新型コロナウイルス感染症による感染症肺炎に加えて「インフルエンザ等のウイルス性及び細菌性肺炎を含む急性呼吸窮迫症候群(ARDS) に広げるべく米国FDAに申請し、承認を受けることが出来た」と報告されています。 前期第Ⅱ相臨床試験は目標症例数が120例ですが、現在のところ順調に登録が進んでいると言われています。
なおアンジェスは、2022年10月の2022年12月期第3四半期連結決算に、「バソミューン社がAV-001の開発のため、カナダ政府及び米国国防総省より補助金を受領したものを、アンジェスは開発費用の分担に応じた補助金収入として2億5176万円計上いたしました」と報告していますがその額とほぼ同額を、アンジェスは昨年12月に、急性呼吸窮迫症候群などを適応疾患として共同開発を進めてきたカナダのバソミューン社に対して、A種優先株式を購入する形で、2,000,000 USD(約2億6533万円)の出資したことをIRで報告しています。
この出資は、対象疾患が拡大された前期第Ⅱ相臨床試験の支援の意味もありますが、予定通り2023年の5月には治験が終了し、早い機会に臨床試験の報告がされることを期待したいと思います。