●アンジェス(株):2021/04/20 14:21
菅首相はバイデン米大統領との会談終了後、ファイザー社の最高経営責任者のアルバート・ブーラに「新型コロナウイルスのワクチンの追加供給をお願いしたい」と電話要請した。ブーラは「日本政府と緊密に連携したい」と答えたとのこと。
一国の首相が自ら交渉に乗り出すことに政府内で慎重論もあった。しかし、海外ワクチンの供給が思うように言っていない現状では、背に腹は代えられない思いもあって、電話要請をしたのだと思います。その結果について、菅首相は「追加供給で実質合意でき、9月末までに接種対象者全員分のワクチンを確保できる見通しはたった」と説明しています。
しかし、先ほど報じられたテレビの「ワイドスクランブル」の番組では、田村厚生労働大臣は、菅首相とファイザー社の話は合意文書が取り交わされたものでないと期待感が持たれることを牽制しています。
経過的に言っても、厚生労働省が今年1月に「ファイザー社は日本への年内1億4400万回分の供給を最大限努力する」と発表しているが、ファイザーとの契約は「確約」ではなかった。そのため海外ワクチンの入荷交渉の任に当たってきた河野規制改革担当相も、いつ、どのぐらい供給されるかといったスケジュールを明確に示せなかったのだ。
確かに、菅首相の訪米時の電話要請や、ファイザーの欧州工場での生産拡大も追い風となり、これまで以上の海外ワクチンの入荷は可能になると思います。しかし、菅首相による電話要請は一国の最高責任者としての重みはあるとしても要請は合意文書による確認ではないことと、かつ、日本向けのファイザー社のワクチンはベルギーで生産されていることから、欧州連合(EU)による輸出規制のハードルは越えられずにいるのが現状です。
EUは1月、域内の製薬会社に域外への輸出計画を事前に申告して許可を得るよう義務づけた。日本向けに製造するファイザーのベルギー工場も対象となっている。
河野規制改革相は外相時代のパイプを生かしEUやベルギー政府に、規制の免除や一括承認を働きかけた。それでも規制の例外とはならず、今でも輸出する1便ごとに事前にEUの承認を得なければならない。
ワクチンを海外に依存する脆弱さを身をもって知った河野規制改革相は、「国内でワクチンを開発・生産できれば非常に供給が楽になる」として、国による支援の必要性を繰り返し訴えています。今後に期待したい。