●アンジェス(株):2021/02/20 14:59
【展望 2021】より抜粋
コロナワクチン開発速く、パンデミック収束へ期待!!
一般的なワクチンは鶏卵などを使ってウイルスを増やす。
ウイルスの毒性を弱めたり、完全に不活化したりすることで人への病原性を最小限に抑え、免疫にウイルスの特徴を覚えさせる。長年使われてきた手法で安全性も有効性も高い。
しかし、この概念が一変した。世界でいち早く実用化した米ファイザーや米モデルナなどのmRNAワクチンが代表例だ。DNAやRNAといった核酸を用いるため核酸ワクチンとも呼ばれる。人体が核酸を使ってたんぱく質を作る仕組みを利用し、人工的に新型コロナのたんぱく質を体内で作り出す。
ウイルスを使わず短期間で製造できるのが特徴で、最短1~2カ月で最適なmRNAを合成できる。半年~1年近くかかる従来のワクチンより格段に早い。今回の臨床試験で証明された有効率は90%超。初期データだが、既存ワクチンを大きく上回る効果を証明した。大規模接種で早期に集団免疫を獲得できる可能性に期待が高まる。
核酸を使ったワクチンではDNAに働きかけてたんぱく質を作らせるタイプを米イノビオ社、そして日本のバイオ企業のアンジェスなどが開発を進めている。これまで人で使われた実績のないワクチンだが幅広い感染症への応用が期待される。
日本にはファイザー製が6月までに1億2000万回分(2回接種で6000万人分)、モデルナ製が6月までに4000万回分(同2000万人分)が届く予定だ。英アストラゼネカのワクチンも今春から計1億2000万回分(同6000万人分)供給される予定で、うち3000万回分(1500万人分)は1~3月中に届くとされる。政府は最短で2月からの接種開始を目標としている。
アンジェスも最終段階の治験を進めており3月には結果が出る予定だ。100万人分の供給体制を整えている。
うまくいけば、7月開催予定の東京五輪までに計約1億人分は確保できる見通し。医療従事者や高齢者が優先されるが、日本ではワクチン接種費用を国が全額負担するとされ、少なくとも東京五輪までには希望すれば大多数の人が無料でワクチンを接種できそうだ。
新技術の登場と実用化でパンデミックは収束に向かうのか。21年は人類と感染症の戦いの勝敗を占う年となりそうだ。
(先端医療エディター 高田倫志)