●アンジェス(株):2020/09/09 06:04
新型コロナ収束の切り札として期待が高まるワクチンについて、政府は来年の前半までに国民全員分の確保を目指す方針です。とりわけ、来年の夏に東京五輪を開催するには、観客数などを縮小するコンパクトな開催を行うとしても、新型コロナ予防ワクチンが必要なことは言をまちません。
こうしたワクチンをめぐる政府方針を聞くためにNHKは、先月8月に厚生労働省医務技監を退任した鈴木康裕さんに突撃インタビューを行なっています。厚生労働省在任中の鈴木さんは、医務技監として新型コロナウイルス対策に中心的に関わり、総理大臣官邸の会議にも連日出席してきた方です。
鈴木さんの話では、来年前半までに全国民に提供できる数量を確保することを目指すとする、新型コロナウイルスの「対策パッケージ」にワクチン確保の目標が初めて明記されたのは8月28とのことです。つまり、全国民分の1億2000万人余りの分を来年前半までに確保するというのです。
そして、ワクチンの調達には主に以下の手段をとると確認されています。
(1)国内での開発・生産
(2)海外製薬会社から購入
(3)国際的枠組みでの調達
したがって、海外からのワクチン購入について基本合意を見たことをもって、国産ワクチンが不要となったことを意味するものではないのです。
そのため、新型コロナウイルス感染症対策分科会が先月8月に打ち出した「ワクチンの購入について」については次のような考えがあるのです。
「国としてワクチンの確保に全力で取り組んでいくとともに、海外からの購入に際しては、安全性及び有効性などが明確になっていない時点で確保の判断を行う必要がある。したがって、最終的には確保したワクチンをすべては使用しない可能性があるとしても、必要なワクチンを確保することを目指す必要がある。」と。
また重要なことは、新型コロナ予防ワクチンの海外買い付けは、1回買い付けると、それで終ります。しかし、新型コロナワクチンは毎年打たなければならない可能性が高いのです。
であれば、国内に製造拠点があれば、毎年ワクチンを作ることができる。その意味では継続的なワクチンの確保に向けて、国内の生産体制の整備は非常に大事になります。
そのために政府はワクチンの生産体制を構築するための助成を行っているのです。