●アンジェス(株):2020/04/15 06:21
森下竜一ドクター×斎藤糧三ドクター対談(その5)
【斎藤】しかもECMOのノウハウを有するドクターや看護師は少ないそうですね。
【森下】心臓外科のノウハウを有する病院は大丈夫かもしれませんが、使いこなせる人が少ないのが実情です。日本はまだ機器不足には陥っていませんが、ヨーロッパは、機器を使いこなせる人、そして機器そのものも足りなくなったため死者が増えました。
【斎藤】日本の現況はどう思いますか?
【森下】とくに東京は深刻です。ベッド数が限られていることもさることながら、危機感が薄い。大阪のようにトリアージをするという面でも遅れています。くわえて、東京は若者が多いので、オーバーシュートする可能性が極めて高いです。あとは、ECMO関連の機器がない離島は、感染者への対応が遅れる可能性が高いです。おそらく、どこの地域も足りなくなるので、高度な医療機器が離島などに送られる可能性は極めて低いと想定されます。医師の派遣も、派遣元が医療崩壊を起こしていれば、離島での感染リスクが高いため積極的にはおこないにくいことが予想されます。
<BCGワクチンの有効性がささやかれていますか?>
【森下】BCGワクチンの効果の有無はまったくわかりません。あてはまっている地域もあれば、あてはまっていない地域もあります。今後の議論を待つ必要があり、学会からも既に否定的な見解が出ていますが、今の時点で飛びつくのは危険です。今回、新型コロナウイルスでわれわれが注意すべき点は、とにかく症状の進展がはやいということです。朝、「ちょっとしんどいなぁ」と、思った人が、夕方にはECMOを装着している事例もあります。こんなに進行がはやい肺炎というのは前代未聞です。ですので、死亡率が高いのです。
【斎藤】われわれは今、新型コロナウイルス対策としてなにをすればよいでしょうか?
【森下】手をよく洗い、外出を控え、部屋の風通しをよくすることなど3密をさけるのが、重要です。とくにこれから気をつけたいのが冷房機器の掛けっぱなしです。冷房をつけたまま、換気をほとんどしないと、空気中に浮遊するウイルスによる“エアロゾル感染”のリスクが高まるからです。現状、特効薬がないため、感染を防ぐためには、日々の生活のなかでやるべきことをしっかりやるしかないのです。