●アンジェス(株):2020/04/04 20:22
3月の末に,何方かが「 アンジェス山脈の尾根を越えて、いつか山頂が見えるといいですね。」と言っていたと思いますが、今はまだ山頂が見える場所まで到達していないのです。
つまり、山頂とは大阪大学・アンジェス連合が着手している新型コロナ予防DNAワクチンが動物を対象とした非臨床試験が成功裏に終了し、9月頃開始予定とされる人への臨床試験で安全性・有効性・抗体発現率などのデーターを集積し、それが評価できる結果を得てから、厚生労働省の審議会での検討を経て承認されるか否かを待つのです。その後、薬価収載の議を経てワクチンが通常販売され人々に使用されるに至った時が、その時期かと思います。
大阪大学・アンジェス連合は人への臨床試験で成功できるまでは、これまでの研究の積み重ねで確信はあると思いチャレンジしています。しかし、大阪大学の森下教授も言っているように国の認可に関しては相手がいることで、従来経過を踏まえれば非常に時間が掛かるとの認識は持っていたのです。
今回は、ありがたい事に日本医師会を代表して横倉義武会長が3月27日、加藤勝信厚生労働大臣と会談し、「新型コロナウイルス感染症のワクチン開発に関する要望書」を提出して頂きました。同会長は、大阪大学で開発されているプラスミドDNAワクチンは既に動物用製剤が入手可能で、ヒトに対する臨床試験も予定されていることを説明し、審査の柔軟な対応と開発に必要な財政支援を要請してくれたのです。加藤厚労大臣は「何らかの対応を検討したい」と応じてくれたので、今後の展望を見る上で大きな前進に繋がると思います。
だが、これをもってクリアすべき課題が超えられたと見ることは拙速です。最後は新薬の認可権を持っている厚労省の対応が残ります。ともすれば従前の慣行や慣例が重視される官僚体制に穴をあける術は大阪大学・アンジェス連合にはないのです。やはり最後は国難とも言える新型コロナウイルスの感染拡大を食い止めるためにワクチンが早期に必要とする政治判断をバックとした早期承認が必要となるのです。
そうした気運が高まれば、国内におけるワクチンの使用量や国際的支援のためのワクチンの必要量は事前に割り出すことは出来るし、量産も可能なのです。
その時が「 アンジェス山脈の尾根を越えて、いつか山頂が見えるといいですね。」と言っていたことが実現するのです。