●アンジェス(株):2023/03/28 08:02
【Forbes JAPANF】2023.03.25掲載
「ひとりでも多くの患者を救済したい」 強い信念が
ゲノム・ビジネスを加速させる(その4)
バラムも共感しつつ、自らの体験を語り出す。
「遺伝子疾患がある赤ちゃんの父親が、国境を越えて突然、オフィスに現れたのです。彼は『子どもの病気を治療ではなく、治癒できる方法を開発してほしい』と訴えてきました。そこから私は、一生続ける治療ではなく、一度受ければ二度と発症しない“治癒”を、ゲノム編集で実現すべきだと考えるようになったのです」
アンジェスとエメンドは、20年に合流した。そこには企業同士の利害関係だけでなく、『ひとりでも多くの患者を救済する技術を生み出す』というミッションの深い共鳴がある。
「私はデイビッドとともに戦いたい」
そう宣言する山田に、バラムも呼応する。「私も山田さんと戦いたい。あとはプランを実行するのみですね」
山田はほほ笑みながらバラムを見つめ、力強くうなずいた。
◆デイビッド・バラム
◎2009年にノーベル賞を受賞したアダ・ヨナスのもとで研究を重ね、高精度なゲノム編集技術をもつ米国企業・エメンド(EmendoBio Inc.)を創設、最高経営責任者に就任。
◆山田 英
◎三菱化成工業(現・三菱ケミカル)入社。米国ジェネンテック社などとの事業開発にかかわる。タカラバイオ取締役を経て、2002年アンジェス社長就任。