●アンジェス(株):2021/07/25 04:45
【NHK:NEWS WEB】7/21発信
「国産ワクチン」開発はどこまで進んだ? 何が“壁”なのか?(その2)
<国産ワクチン開発の“壁”は「大規模臨床試験」>
国産ワクチン開発の大きな壁となっているのが「大規模臨床試験」です。
ワクチンの開発では、効果や安全性を確認するために、数万人規模が参加する大規模な臨床試験が行われます。
通常の薬が病気の治療のために使われるのに対して、ワクチンは健康な人に接種することから、効果や安全性は十分に確認される必要があります。
すでに実用化されているファイザーやモデルナ、それにアストラゼネカなど各社のワクチンは、数万人規模の大規模臨床試験が行われてきました。
こうした臨床試験は、開発中のワクチンを接種するグループと、ワクチンを含まない「偽薬=プラセボ」を接種するグループとに分けて行われ、どちらを接種したかは参加者には知らされません。
その上で、接種後に新型コロナウイルスを発症する人数に違いがあるかや、有害な症状が増えていないかどうかを調べていきます。
ワクチンに限らず臨床試験では、「偽薬」を接種したグループでも、一見効果があるかのようにみられる反応が出たり、副反応のような症状が出たりすることがあるため、こうした方法で厳密に確認することが必要となります。
<日本は「大規模臨床試験」のノウハウ不足>
ところが、日本ではここ最近、国内で開発された新たなワクチンが実用化されるケースがほとんどなく、数万人という大規模な臨床試験を行うノウハウは十分に蓄積されていませんでした。
パンデミックに直面してから急に体制を構築するのは簡単なことではありません。
<後発の日本では「倫理面」の課題も>
大規模臨床試験が難しいもう1つの理由が「倫理面」での課題です。
ファイザーやモデルナをはじめ、すでに実用化されたワクチンがある中で、試験のために「偽薬」を投与することは、倫理的に許されないという指摘があります。
使えるワクチンがあるのに、試験に参加した人たちのおよそ半数は全く効果が無い「偽薬」を接種している可能性があり、観察期間中に効果のあるワクチンを接種することも難しいからです。