●アンジェス(株):2020/05/06 05:37
【医薬通信社】(その3)
大阪大学大学院:臨床遺伝子治療学森下竜一教授に聞く
来春にも新型コロナ感染予防DNAワクチン実用化へ!!
現在、アンジェスでは、動物実験から臨床試験に移行するためのGLP試験を推進しており、製造のパートナーであるタカラバイオからは年内20万人の目途が付いたことが明らかにされた。森下氏は、「罹患した人に実際どのくらいの抗体ができているのか、特にウイルス感染後に産生されるIgG抗体ができているかの抗体検査による確認が重要になる」と指摘する。
中国の報告によれば、新型コロナウイルス感染者の中でIgG抗体ができているのは1/3程度のため、「今後、集団の60%が免疫を持つ“集団免疫”が形成されるかどうかは危惧される。従って、ワクチンを投与してしっかりと抗体を作っておく必要がある」と強調する。また、「新型コロナウイルスの活性化の低さが、抗体ができにくい原因になっているのではないか」との考えを示す。
ところで、現在、P1試験中の新型コロナウイルスワクチンには、米バイオベンチャーのモデルナが開発する「RNAワクチン」、米イノビオ・ファーマシューティカルズの「DNAワクチン」、中国の「アデノウイルスワクチン」がある。専門家によるRNAワクチン、DNAワクチン、アデノウイルスワクチンに関する評価は概ね次の通りだ。
◆RNAワクチン=メリット:DNAワクチンより発現効率が高いため、抗体が早くできる可能性がある。デメリット:非常に不安定なので、遺伝子発現のための補助が必要。コストが高い。生産能力が低い。
◆DNAワクチン=メリット:大量生産が可能、安価、安定している。デメリット:発現効率が低く、アジュバントなどの工夫を要する。
◆アデノウイルスワクチン=メリット:発現効率が高い。デメリット:アデノウイルスによる副作用の発熱など安全性に対する不安。生産能力低い。コスト高。アデノウイルスそのものに対する抗体もできるので、抗体持続時間が半年~1年であるとすれば、再度投与した場合効果がない。
これらの評価を総合して、「パンデミックな新型コロナウイルスには、DNAワクチンの有用性が高いのではないか」と指摘する専門家の声も少なくない。ただし、今後、DNAワクチンの発現効率のさらなる改善が求められるのは言うまでもない。