●アンジェス(株):2022/01/15 04:35
周回遅れのベンチャー支援
アンジェスの山田英社長を取材(その2)
米国では、赤字続きのベンチャー企業がわずか11ヵ月でワクチンの開発を成功させた。2010年創業のモデルナだ。
日米の差を生んだ要因は何か。医療コンサル会社IQVIAの谷将孝氏は、その一つに
「長期投資家の存在」を挙げる。
アンジェスは株式の8割超をを個人投資家が持つのに対し、モデルナは大半が機関投資家だ。米国のベンチャーキャピタルは、医薬専門の責任者が数十、数百の新薬候補を見極めながら長期投資する。それもあって、米国では新規承認薬の6割が創薬ベンチャーによるものだという。谷氏は「日本のベンチャーは、収支のバランスを気にした経営になりがちだ」と指摘をする。
国の姿勢の違いもある。感染症を安全保障と位置づける米政府は13年以降、モデルナに計1億ドル(114億円)超の研究費を補助。新型コロナのワクチンでは、10億ドル(1140億円)近い治験の支援に加え、開発途中の段階で15億ドル(1710億円)規模の買取契約も結んだ。
日本では、日本医療研究開発機構(AMED)が「新興・再興感染症」を主要なプロジェクトの一つに掲げるが、予算は年50億~60億円前後。ベンチャー支援の強化に向け、政府も民間も、投資を判断できる「目利き」の育成が欠かせないと谷氏は指摘する。 (渡辺淳基)
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◆ワクチンサミットに臨むにあたって、経済産業省と厚生労働省は昨年5月に
「創薬ベンチャーの育成(案)」を作成しています。その中で
「創薬ベンチャーは、①開発期間が長い、②開発資金が多額、③成功率が低い
④薬事承認されないと売上げがないなど、ビジネスモデルが特殊で事業化の難易
度が高い。特に治験第1相、第2相は、リスクは依然大きいにもかかわらず
開発資金が50〜100億円といった規模に跳ね上がる。」ので「対応案」として
「①NEDO事業も参考にしつつ、ハンズオンによる事業化のサポートを行う認定VCによる出資を要件として、特に第1相、第2相期の創薬ベンチャーに対する大胆な実⽤化開発を支援、及び、②創薬ベンチャーが調達できる長期の開発資金の規模を拡充するため、政府系ファンド等の活用も検討すべきではないか。」との方針が確認されています。