●アンジェス(株):2020/08/24 04:03
新型コロナウイルス感染症のワクチンの
接種に関する分科会の現時点での考え方(その1)
■ワクチンの接種の実施の検討に当たり考慮すべき事項①
【目的】
〇国は、死亡者や重症者をできる限り抑制し、国民の生命及び健康を守るために、ワクチン接種の実施体制を整えていく必要がある。
〇今回の新型コロナウイルスワクチンの安全性及び有効性については科学的な不確実性がある一方で、国民の期待も極めて大きいことから、しっかりと正確な情報を丁寧に伝えていく必要がある。
【安全性及び有効性について】
〇ワクチンの接種を行うにあたっては、リスクとベネフィットの双方を考慮する必要がある。現在のところ、開発されるワクチンの安全性及び有効性については不明な点が多いが、継続的な情報収集を進める必要がある。
〇特に留意すべきリスクは、現在開発が進められているワクチンでは、核酸やウイルスベクター等の極めて新規性の高い技術が用いられていることである。また、ワクチンによっては、抗体依存性増強(ADE)など重篤な副反応が発生することもありうる。ワクチンの接種にあたっては、特に安全性の監視を強化して接種を進める必要がある。
〇一般的に、呼吸器ウイルス感染症に対するワクチンで、感染予防効果を十分に有するものが実用化された例はなかった。従って、ベネフィットとして、重症化予防効果は期待されるが、発症予防効果や感染予防効果については今後の評価を待つ必要がある。しかし、今から、安全性と共に有効性が妥当なワクチンが開発されたときに備えて準備を進めていく必要がある。
〇実際に接種を始める時期は、安全性及び有効性について国が認める薬事承認が行われた後となる。しかし、新規性の高いワクチンである場合、市販後に多数の人々への接種が開始された後になって初めて明らかになる安全面の課題も想定されるため、現実社会(Real world)での有効性を検討する疫学調査とともに市販後調査を行いながら、注意して接種を進める必要がある。そして、副反応などの発生については、特に情報収集とともに、適切な情報発信を行う必要がある。
〇なお、実際の安全性及び有効性などの性能評価については、医薬品医療機器総合機構(PMDA)での検討とともに、厚生科学審議会予防接種・ワクチン分科会での議論を十分に行っていただきたい。導入後の副反応のモニタリングについても、予防接種・ワクチン分科会にお願いをしたい。有害事象の発生時の対応についても、予防接種・ワクチン分科会で行うことを確認したい。
■ワクチンの接種の実施の検討に当たり考慮すべき事項②
【ワクチンの購入について】
〇国としてワクチンの確保に全力で取り組んでいくとともに、海外からの購入に際しては、安全性及び有効性などが明確になっていない時点で確保の判断を行う必要がある。したがって、最終的には確保したワクチンをすべては使用しない可能性があるとしても、必要なワクチンを確保することを目指す必要がある。
〇その一方で、ワクチンの確保にあたっては、世界で日本だけがワクチンを独占するかのようなことにならないよう、他国への一定程度の配慮を踏まえた施策も進めるべきである。