●アンジェス(株):2021/08/08 05:49
【日本経済新聞】電子版
新型コロナワクチン3回目接種検討
変異型警戒、一部費用徴収案も
厚生労働省は2回の新型コロナウイルスワクチン接種を終えている人に対し、2022年に3回目の接種を検討する。
時間の経過とともに低下する免疫を高める効果を狙う。感染力の強い変異型ウイルスへの警戒が強まっているためだ。
政府の新型コロナ対策分科会の尾身茂会長は「海外の文献などを分析すると、(ワクチンによる)免疫の持続期間が数カ月後くらいに減少し、また感染することがある」と指摘し接種していても安心はできない。米欧で2回の接種が完了した割合が5割以上の国でも感染が再拡大するケースが出ており、対策が求められている。
ワクチンが確保できたとしてどう取り扱うか。現在のワクチンの接種は、まん延を防ぐため緊急の必要がある「臨時接種」の特例で、国が費用を全て負担している。2回目までのワクチン購入費は7000億円を超え、関係費の総額としては2兆円弱にのぼるとみられる。
ワクチンが変異型ウイルスにも一定程度の有効性を持つ状況が変わらなければ、22年以降は平時のまん延予防にあたる「定期接種」に移行する想定だ。はしか(麻疹)のワクチンなどと同じ扱いで、低所得者以外から一部の費用を徴収できるようになる。一方、いまのワクチンが効かない変異型ウイルスが広がった場合はまた新しいワクチンが必要で、「臨時接種」の延長が選択肢になる。利用者の自己負担はない。
そのため必要な公費は接種の実施方法によって左右される。変異型ウイルスの感染状況や外国の事例などを踏まえ、秋以降の感染状況を見極めないと方法は決められない。厚労省は22年度予算の概算要求ではコロナワクチンについては金額を示さない「事項要求」とする方向だ。