●アンジェス(株):2024/10/07 08:15
カナダのバソミューン社とアンジェスは2018年7月に、急性呼吸不全など血管の不全を原因とする疾患の治療薬であるTie2受容体アゴニスト(AV-001)についての共同開発に向けた契約を締結しています。契約の内容は、全世界を対象とした開発を共同で進め、開発費用と将来の収益をそれぞれ折半する内容となっています。また、契約の内容は急性呼吸不全のみならずAV-001が有効性を持つ全ての疾患を対象としてして契約されたものです。
急性呼吸窮迫症候群は外傷や肺炎、感染症などさまざまな原因で起こる重症の呼吸不全ですが、根本的な治療法はなく有効な治療薬の開発が望まれています。共同開発の締結以降、バソミューン社は前臨床試験を経てAV-001の第1相臨床試験を2020年12月より米国において実施し、安全性と忍容性を確認しています。
2021年秋以降、米国でコロナ感染症による肺炎患者が増大したことから、AV-001については中等度から重度の感染症肺炎患者向けの治療薬としても効果があると判断し、2022年1月より米国で前期第2相臨床試験として取り組んできた経過がありますが、重症化リスクが低いオミクロン株への置き換わりが進んだことで患者確保が進まなくなり、対象疾患を「インフルエンザ等のウイルス性及び細菌性肺炎を含む急性呼吸窮迫症候群に広げる試験計画の変更」を米FDAに申請し、2022年12月に承認を受け、以降アンジェスは臨床試験を第2相臨床試験として位置付けています。
その後AV-001は、本年5月に米国FDAにより重篤な疾患に対する治療薬やアンメットメディカルニーズに対する優秀な医薬品をより早く患者に届けることを目的としたファスト・トラック指定を受けています。これにより医薬品開発および審査プロセス全体を通じて、FDAとバソミューン社との早期かつ頻繁なコミュニケーションが可能となっています。
対象となる患者の多くが救急搬送されるため、当初は登録のペースが遅かったが、米国で治験施設数を拡大したことに加え、治験施設との連携を深化させたことにより登録も順調に進むようになり、8月9日に発表された2024年2四半期決算短信の中で「AV-001について順調に症例登録を進めており、今年度内に目標症例数の登録を完了する予定です」と報告されています。