●アンジェス(株):2024/08/28 08:17
バソミューン社はトロント大学の医学研究機関である サニーブルック研究所からのスピンアウトとして2012年に設立された創薬バイオベンチャー企業で、血管不全に関する疾患を対象としたTie2受容体アゴニスト(AV-001)の開発に取り組んでいます。
バソミューン社とアンジェスは2018年7月に、急性呼吸不全など血管の不全を原因とする疾患の治療薬であるAV-001の共同開発に向けた契約の締結をしています。両社が締結した契約の内容は、AV-001の化合物について、全世界を対象とした開発を共同で進め、開発費用と将来の収益をそれぞれ折半する内容となっています。また、今回の契約は急性呼吸不全のみならずAV-001が有効性を持つ全ての疾患を対象としてして契約されたものです。
2021年秋以降、米国でコロナ感染症による肺炎患者が増大したことから、AV-001については2022年1月より米国で前期第2相臨床試験として取り組みましたが、重症化リスクが低いオミクロン株への置き換わりが進んだことで患者確保が進まなくなったことから、対象疾患を「インフルエンザ等のウイルス性及び細菌性肺炎を含む急性呼吸窮迫症候群に広げる試験計画の変更」を米FDAに申請し2022年12月に承認を受けています。アンジェスはこれを機に、AV-001の臨床試験を第2相臨床試験として位置付けています。
5月17日~22日に米国カリフォルニア州サンディエゴで開催された米国呼吸器学会における呼吸器イノベーション・サミットの演題には、バソミューン社の急性呼吸窮迫症候群を対象としたAV-001が演題に選出され、バソミューン社の研究・科学担当副社長であるハロルド・キム博士が講演しています。
また、5月29日にはアンジェスとバソミューン社が共同開発をしているAV-001がアメリカ食品医薬品局(FDA)より、審査を迅速化し、重要な新薬をより早く患者に届けることを目的としたファスト・トラックを取得しています。
治験の進捗状況については、8月9日に発表された2024年2四半期決算短信の中で「2024年度第2四半期は、AV-001について順調に症例登録を進めており、今後も医療機関との連携を進め今年度内に目標症例数の登録を完了する予定です」と報告されています。